国語の読解文章題を見ていると、保護者の方が戸惑う場面は少なくありません。
本文を読んでいる様子はある。内容も全く分かっていないわけではなさそう。けれど、いざ問題になると答えがずれる。特に書き抜き問題では、「本文に答えがあるはずなのに、なぜ取れないのだろう」と感じることも多いと思います。
こういうとき、つい「やはり読書量が足りないのかな」と考えたくなります。
もちろん、本を読むこと自体は大切です。言葉にふれる量が増えれば、語彙や文章への親しみにつながる面もあります。ですが、テストの国語、特に読解文章題の書き抜き問題では、それだけでは説明しきれないつまずきがたくさんあります。
なぜなら、書き抜き問題で必要になるのは、ただ文章を読むことだけではなく、「何を聞かれているか」に合わせて答えを探すことだからです。
内容がなんとなく分かることと、設問に合う答えを出せることは、同じではありません。ここがあいまいなままだと、読んでいるのに点につながりにくい、という状態が起きやすくなります。
この記事では、国語の読解文章題に出る書き抜き問題について、家庭でどこを見ればよいのかを、順を追って整理していきます。
「本を読めばそのうちできる」とだけ考えない方がよい理由、最初に教えたい土台、そして書き抜き問題をどのように見分けていけばよいのかを、できるだけわかりやすくまとめます。
まずは、いちばん大切な前提から確認していきます。
国語の読解文章題は、「読めた」と「解けた」が同じではありません
国語の読解文章題では、本文を最後まで読めたからといって、そのまま正答につながるとは限りません。
ここが、国語を家庭で見ていて特にややこしく感じやすいところです。
算数なら、途中式や計算の間違いが見えやすいことがあります。
ですが国語は、本文を読んでいるように見えるので、「どこでずれたのか」が分かりにくいのです。保護者の方からすると、「ちゃんと読んでいるのに、どうして答えが合わないのだろう」と感じやすいと思います。
実際には、このずれの多くは、「文章の内容が全く分かっていない」ことだけが原因ではありません。
むしろ多いのは、設問が何を聞いているのかに対して、答えを合わせきれていないケースです。
たとえば、理由を聞かれているのに、出来事の説明を抜いてしまう。
気持ちを聞かれているのに、場面の様子をそのまま抜いてしまう。
筆者の考えを問われているのに、具体例の部分を選んでしまう。
こうしたずれは、国語がとても苦手な子だけに起きるものではありません。ある程度読める子でも、設問の形を十分に使えていないと起こります。
ここで大事なのは、国語を「なんとなく読めるかどうか」の教科としてだけ見ないことです。
もちろん、読む力は必要です。ですが、テストの国語では、本文を読んだうえで、「この問題は何を答えればよいのか」を読み分ける力も必要になります。
この視点が入るだけで、保護者の方の見え方はかなり変わります。
「うちの子は国語が分かっていない」と大きくまとめてしまうのではなく、「内容はある程度つかめているけれど、答え方がずれているのかもしれない」と考えられるようになるからです。
特に書き抜き問題は、このずれがとても出やすい問題です。
答えが本文の中にあるため、一見すると「見つけられるかどうか」の問題に見えます。ですが実際には、「何を探すべきか」を設問から読み取れないと、候補が広がりすぎてしまいます。すると、近いところまでは行けても、正解には届かない、ということが起きます。
ここは、国語の学習だけの話ではありません。
相手から何を聞かれているのかを読み取り、それに合う形で返すことは、大人になってからも必要になる力です。理由を聞かれたのに感想だけを返してしまえば、会話はかみ合いません。要点を聞かれたのに周辺の説明ばかり話してしまえば、伝えたいことが届きにくくなります。
国語の読解文章題では、こうした力がかなりはっきりした形で問われます。
だからこそ、書き抜き問題を教えるときは、ただ「本文をちゃんと読もう」で終わらせず、「何を聞かれているか」を先に確認する見方を育てていくことが大切です。
「本を読めば国語ができる」とだけ考えると、家庭での教え方がぼやけます
国語について考えるとき、よく出てくるのが「本をたくさん読めば国語は伸びる」という考え方です。
これは、まったく外れているわけではありません。実際、本を読むことで言葉にふれる量が増えますし、文章に慣れることにもつながります。読書が好きなお子さまは、国語に入りやすい面もあります。
ただ、それだけで読解文章題の点数までまっすぐ結びつくかというと、話はそこまで単純ではありません。
ここを分けて考えないと、家庭での教え方がかなりぼやけます。
本を読む時間は、基本的には自由に受け取る時間です。
登場人物をどう感じるか、筆者の考えにどう向き合うか、どの場面が印象に残るかは、人によって違ってよいものです。むしろ、その自由さが読書のよさでもあります。
一方で、テストの国語は違います。
そこでは、「この場面での気持ちは何か」「この表現は何を指しているか」「筆者が言いたいことは何か」といった、はっきりした問いが置かれます。
つまり、自由に受け取るだけではなく、出題された問いに沿って文章を見ることが必要になります。
ここが、読書とテストの国語の大きな違いです。
たとえば物語文なら、自分はこの人物をかわいそうだと思わない、という受け取り方もあるかもしれません。
ですがテストでは、「本文中でどういう気持ちが表れているか」が問われます。そこで必要なのは、自分の感じ方を前面に出すことではなく、本文に書かれている手がかりを使って答えることです。
説明文でも同じです。
筆者の考えに賛成かどうかはひとまず置いておいて、まずは「筆者は何を主張しているのか」をつかまなければなりません。
ここでは、文章を読んだ感想よりも、文章の構成や主張の置かれ方を見分ける力が必要になります。
つまり、「本を読めばそのうちできる」とだけ考えてしまうと、家庭で本当に必要な練習が見えにくくなります。
読む量を増やすことは意味があります。けれど、読解文章題で点につなげたいなら、それに加えて、「問いに沿って読む」「設問に合う答えを探す」という経験も必要です。
この違いが見えると、保護者の方の関わり方も変わってきます。
たとえば、国語が苦手なときに、ただ「もっと本を読もう」と言うだけではなく、
「この問題は何を聞いているのかな」
「理由を聞かれているなら、どんな答えになりそうかな」
と、設問を使って考える声かけがしやすくなります。
読書を否定する必要はありません。
ただ、読書は土台の一つであって、テストで点につなげるには別の見方もいる、ということは、はっきり押さえておいた方がよいです。
ここが見えてくると、国語のもやもやがかなり整理されます。
国語の記述・書き抜き問題で土台になるのは、「問いの形に合わせて答えること」です
では、家庭で最初に教えたいことは何でしょうか。
私は、いちばん土台になるのは、問いの形に合わせて答えることだと思います。
この言い方だけ聞くと、少しかたく感じるかもしれません。
けれど、やっていることはとても基本的です。
何を聞かれているのかを見て、それに合う答えの形を考える。まずはここからです。
たとえば、「なぜですか」と聞かれているなら、答えは理由の形になるはずです。
「どんな気持ちですか」なら、出来事そのものではなく、気持ちを表す内容が必要です。
「どういうことですか」なら、本文の表現を別の言い方で説明する必要があります。
「本文中から書き抜きなさい」とあれば、自分で言いかえるのではなく、本文の中からそのまま拾うことが求められます。
大人から見ると当たり前に思えるかもしれません。
ですが、国語が苦手なお子さまほど、この「何を聞かれているか」の確認が弱いことがあります。
本文を読むことに意識が向きすぎて、設問の形を十分に使えないまま答えを探してしまうのです。
すると、候補が広がりすぎます。
たとえば理由を聞かれているのに、本文中の出来事の説明や、その前後の様子まで全部同じように見えてしまう。
気持ちを聞かれているのに、行動の描写だけを答えにしてしまう。
こうしたずれは、本文を読んでいないから起こるというより、設問から答えの形を作れていないために起こることが多いです。
ここで役に立つのが、答えを探す前に「どんな形の答えが入りそうか」を考えることです。
理由なら「〜から」「〜ので」とつながりやすい。
気持ちなら、うれしい、悔しい、不安、安心した、腹が立った、のように感情を表す言葉が入りやすい。
説明なら、「つまりどういうことか」を言い換えられる部分が必要になる。
こうして先に答えの輪郭を考えるだけで、本文のどこを見ればよいかがかなりしぼられます。
これは、書き抜き問題でも同じです。
書き抜き問題は、本文からそのまま答えを探す問題ですが、やみくもに探しても見つけやすくはなりません。
むしろ、先に設問を読んで、「理由を探すのか」「気持ちを探すのか」「言い換えを探すのか」を決めてから本文を見る方が、ずっと見つけやすくなります。
ここで大切なのは、本文と設問を切り離さないことです。
本文だけを読むのでもなく、設問だけを見るのでもなく、設問を手がかりにして本文を見る。
この考え方が入ると、書き抜き問題は「勘で当てる問題」ではなく、「探し方の手順がある問題」に変わっていきます。
家庭で声をかけるときも、この視点があるとかなり言葉が変わります。
「ちゃんと読みなさい」だけではなく、
「これは何を聞いているのかな」
「理由を聞いているなら、どんな言葉が入っていそうかな」
「気持ちを聞いているなら、場面の説明ではなく、気持ちに当たる部分を探したいね」
と、考える方向を細くしてあげられるからです。
国語の記述や書き抜き問題で最初に必要なのは、特別な裏技ではありません。
まずは、問いの形に合わせて答えを探すこと。
この基本がはっきりしてくると、その後の書き抜き問題の考え方もかなりつかみやすくなります。
ここまでが、冒頭文+H2-1〜H2-3の本文たたき台です。
次はこの続きとして、H2-4「書き抜き問題は、記述問題の入口として取り組みやすい一方で、落としたくない問題でもあります」以降を書きますか。
全て書き出してください。
今回は本文化に振り切ります。公開済みの7本の流れに合わせて、Pillarとして一本で読める形にまとめます。
タグは既存のタグ設計に寄せた方が後で困らないので、そこだけ確認しています。本文はこのまま一気に出せます。Thought for 3m 41s
公開済みの7本の流れを踏まえて、総論 → 問いの形 → 書き抜きの基本 → パターン別でつながるPillar下書きとして書いています。LC17が総論、LC16が文末表現、LC15が書き抜きの基本、LC14〜LC11がパターン別という並びです。
国語の読解文章題で出る書き抜き問題の教え方|家庭で知っておきたい基本ガイド
国語の読解文章題、とくに書き抜き問題になると、急に手が止まってしまうお子さまは少なくありません。
本文を読んでいないわけではなさそうなのに、答えになる部分を選べない。近いところまでは行けているのに、正解から少しずれる。そんな場面を見ると、保護者の方も「何をどう教えればよいのだろう」と悩みやすいと思います。
こういうとき、つい「やはり本を読む量が足りないのかな」と考えたくなります。もちろん、読書そのものは大切です。言葉にふれる量が増えれば、語彙や文章への親しみにつながる面もあります。
ただ、国語の読解文章題で点につなげたいときは、それだけでは足りません。
なぜなら、テストの国語では、ただ文章を読むだけではなく、「何を聞かれているか」に合わせて答えを用意する力が必要になるからです。
ここがあいまいなままだと、内容は何となく分かっていても、得点に結びつきにくくなります。
この記事では、国語の読解文章題に出る書き抜き問題について、
・なぜ苦手になりやすいのか
・「本を読めばできる」で終わらせない方がよい理由
・家庭ではどこから教えると進めやすいのか
・書き抜き問題をどう分けて考えると見えやすいのか
を順にまとめます。
読み終えたときに、「何となく分からない」が少し言葉になるように、できるだけ順番をそろえて進めていきます。
国語の読解文章題は、「読めた」と「解けた」が同じではありません
国語の読解文章題でややこしいのは、本文を最後まで読めたからといって、そのまま正答につながるとは限らないところです。
ここが、保護者の方にとって一番つかみにくい点かもしれません。
算数なら、計算や式のどこでずれたかが見えやすいことがあります。
一方で国語は、本文を読んでいるように見えるので、「どこで答えがずれたのか」が見えにくいのです。
実際には、国語の読解文章題で起きるずれの多くは、「文章の内容がまったく分かっていない」ことだけが原因ではありません。
むしろ多いのは、設問が何を聞いているのかに対して、答えを合わせきれていないケースです。
たとえば、理由を聞かれているのに、出来事の説明を選んでしまう。
気持ちを聞かれているのに、場面の様子をそのまま抜いてしまう。
筆者の考えを問われているのに、具体例の部分を答えにしてしまう。
こうしたずれは、国語が特に苦手な子だけに起きるものではありません。本文をある程度読める子でも、設問の使い方が弱いと起こります。
ここで大切なのは、国語を「何となく読めるかどうか」の教科としてだけ見ないことです。
もちろん読む力は必要です。けれど、テストの国語では、それに加えて「この問題では何を答えるべきか」を読み分ける力が必要です。
これは、学校の問題だけの話ではありません。
相手から何を聞かれているのかを受け取り、それに合う形で返すことは、大人になってからもずっと必要になる力です。
理由を聞かれたのに感想だけを返してしまえば、話はかみ合いません。
要点を聞かれたのに周辺の説明ばかり話してしまえば、伝えたいことがぼやけます。
国語の読解文章題、とくに書き抜き問題は、この力がかなりはっきり出る場面です。
だからこそ、ただ「本文をよく読もう」で終わらせず、「何を聞かれているか」を先に確認する見方を家庭でも育てていくことが大切です。
「本を読めば国語ができる」とだけ考えると、家庭での教え方がぼやけます
国語について考えるとき、よく言われるのが「本をたくさん読めば国語は伸びる」という話です。
これは、全部が違うわけではありません。実際、本を読むことで言葉にふれる量は増えますし、文章への慣れにもつながります。読書が好きなお子さまが国語に入りやすい面もたしかにあります。
ただ、それだけで読解文章題の点数までまっすぐ結びつくかというと、話はそこまで単純ではありません。
ここを切り分けて考えないと、家庭で何をするべきかが見えにくくなります。
本を読む時間は、基本的には自由に受け取る時間です。
登場人物をどう感じるか、筆者の考えにどう向き合うか、どの場面が印象に残るかは、人によって違っていてよいものです。
その自由さ自体が、読書の良さでもあります。
一方、テストの国語は違います。
そこでは、「この場面での気持ちは何か」「この言葉は何を指しているか」「筆者が言いたいことは何か」といった、はっきりした問いが置かれます。
つまり、自由に受け取るだけではなく、出題された問いに沿って文章を見ることが必要になります。
たとえば物語文では、自分はこの人物をそれほどかわいそうとは思わない、という受け取り方もあるかもしれません。
でもテストでは、「本文の中でどういう気持ちが表れているか」が問われます。
このとき必要なのは、自分の感覚をそのまま前に出すことではなく、本文にある手がかりから答えを作ることです。
説明文でも同じです。
筆者の考えに賛成かどうかはひとまず置いておいて、まずは「筆者は何を主張しているのか」をつかまなければなりません。
ここでは、文章を読んだ感想よりも、文章の組み立てや主張の置かれ方を見分ける力が必要です。
つまり、「本を読めばそのうちできる」とだけ考えてしまうと、読解文章題で本当に必要な練習が見えにくくなります。
読む量を増やすことには意味があります。けれど、点につなげたいなら、それに加えて「問いに沿って読む」「設問に合う答えを探す」という経験が必要です。
読書を下げる必要はありません。
ただ、読書は土台の一つであって、テストで点につなげるには別の見方も要る、ということは、はっきり知っておいた方がよいです。
ここが見えてくると、国語のもやもやはかなり言葉になります。
国語の記述・書き抜き問題で土台になるのは、「問いの形に合わせて答えること」です
では、家庭で一番先に教えたいことは何でしょうか。
私は、問いの形に合わせて答えることが土台になると思います。
少しかたい言い方に見えるかもしれませんが、やっていることはとても基本的です。
何を聞かれているのかを見て、それに合う答えの形を考える。まずはここからです。
たとえば、次のような違いがあります。
| 問われ方 | まず考えたい答えの方向 |
|---|---|
| なぜですか | 理由になる部分 |
| どんな気持ちですか | 気持ちを表す部分 |
| どういうことですか | 内容を言いかえた部分 |
| 本文中から書き抜きなさい | 自分の言葉ではなく本文の表現 |
大人から見ると当たり前に見えるかもしれません。
ですが、国語が苦手なお子さまほど、この「何を聞かれているか」の確認が弱いことがあります。
本文を読むことに意識が向きすぎて、設問の形を十分に使えないまま答えを探してしまうのです。
すると、候補が広がりすぎます。
理由を聞かれているのに、出来事の説明や周辺の様子まで全部同じ重さで見えてしまう。
気持ちを聞かれているのに、行動の描写だけを答えにしてしまう。
こうしたずれは、本文を読んでいないからというより、設問から答えの輪郭を作れていないために起こることが多いです。
ここで役に立つのが、答えを探す前に「どんな形の答えが入りそうか」を考えることです。
理由なら、理由の形でつながる表現が入りやすい。
気持ちなら、感情を表す言葉や、それがはっきり分かる描写が必要になる。
説明なら、「つまりどういうことか」を言いかえられる部分が必要になる。
こうして先に答えの輪郭を考えるだけで、本文のどこを見ればよいかがかなり細くなります。
これは、書き抜き問題でも同じです。
書き抜き問題は、本文からそのまま答えを探す問題ですが、やみくもに探しても見つけやすくはなりません。
むしろ、先に設問を読んで、「理由を探すのか」「気持ちを探すのか」「言いかえを探すのか」を決めてから本文を見る方が、ずっと見つけやすくなります。
家庭で声をかけるときも、この視点があるとかなり言葉が変わります。
「ちゃんと読みなさい」だけではなく、
「これは何を聞いている問題かな」
「理由を聞いているなら、どんな部分が合いそうかな」
「気持ちを聞いているなら、場面の説明ではなく、気持ちに当たるところを探したいね」
と、考える方向を細くできます。
国語の記述や書き抜き問題で最初に必要なのは、特別な裏技ではありません。
まずは、問いの形に合わせて答えを探すこと。
この基本がはっきりしてくると、その後の書き抜き問題の考え方もかなりつかみやすくなります。
書き抜き問題は、記述問題の入口として取り組みやすい一方で、落としたくない問題でもあります
記述問題というと、つい長い自由記述を思い浮かべるかもしれません。
その中で書き抜き問題は、答えを一から作らなくてよい分、最初の練習として入りやすい問題です。
自由記述になると、
何を書けばよいのか
どこまで書けばよいのか
どんな言葉でまとめればよいのか
まで一度に考えなければなりません。
これでは、国語が苦手なお子さまにとって負担が大きくなりやすいです。
その点、書き抜き問題は「答えは本文にある」という前提があるので、入口としては進めやすいです。
ただし、ここで「書き抜きだから簡単」と見てしまうと危険です。
書き抜き問題では、
何を聞かれているのか
どこを探すべきか
どこまでを答えに含めるのか
字数に合っているか
本当に設問に答えているか
まで確認しなければなりません。
つまり、見た目は取り組みやすくても、国語の基本がかなり出る問題です。
だからこそ、ここを丁寧に教える価値があります。
書き抜き問題で土台ができてくると、その後の短い記述や長めの記述にもつながりやすくなります。
国語の読解文章題は、物語文と説明文で見たいことがかなり違います
ここで一度、文章そのものの種類にも目を向けておきます。
同じ書き抜き問題でも、物語文と説明文では、探す内容や気をつけたい点が少し変わるからです。
物語文では、登場人物の気持ちや場面の流れを見る
物語文では、登場人物の気持ち、場面の変化、会話の調子、行動の意味が大切です。
そのため、心情問題だけでなく、指示内容や言いかえであっても、場面の流れを見ないと答えにたどりつけないことがあります。
また、物語文は感情移入しやすい分、自分の感じ方で読み進めてしまうことがあります。
でもテストでは、「自分がどう感じたか」ではなく、「本文がどういう気持ちを表しているか」が問われます。
ここがずれると、何となく読めているのに答えが外れやすくなります。
説明文では、筆者の考えと具体例を分けて見る
説明文では、定義、比較、具体例、理由づけ、結論といった文章の組み立てを見る力が大切です。
意見の書き抜き問題で苦戦するお子さまは、文章のどこが説明で、どこが筆者の主張なのかを分けて読むのが苦手なことが多いです。
模試やテストを見返すときは、
「国語が苦手」で終わらせず、
「物語文の気持ちでずれやすいのか」
「説明文の主張をつかみにくいのか」
まで見ると、次の練習がかなりはっきりします。
書き抜き問題は、基本の手順を共有しておくと進めやすくなります
書き抜き問題では、次の順で考えるとかなり進めやすくなります。
1 何を聞かれているのかを読む
理由なのか、気持ちなのか、筆者の考えなのか、言いかえなのかをはっきりさせます。
2 答えの形を予想する
理由なら理由の形、気持ちなら気持ちの表れ、言いかえなら同じ意味の別表現、というように方向を先に決めます。
3 本文のどのあたりを見ればよいかを考える
傍線部の近くなのか、その前後なのか、文章全体のまとめ部分なのか、問題の種類によって見に行く場所は変わります。
4 候補をいくつか出す
いきなり一つに決めず、「これも近い」「でもこっちの方が設問に合うかも」と比べます。
5 字数と書き出し・書き終わりを確認する
ここが雑だと、内容は合っているのに失点します。
6 最後に、設問に答えているかを確かめる
字数が合っていても、聞かれていることに答えていなければ正解にはなりません。
この流れを親子で共有しておくと、「何から考えればよいか」が見えやすくなります。
なんとなく本文を読んで、なんとなく拾うやり方から抜けやすくなります。
書き抜き問題は、4つの型に分けて考えると見えやすくなります
書き抜き問題がややこしく感じる大きな理由の一つは、種類の違う問題が全部まとめて「書き抜き」と呼ばれていることです。
ですが実際には、探し方の中心がかなり違う型があります。
ここを分けて考えると、「何が苦手なのか」がかなり見えやすくなります。
| パターン | 主に探すもの | 出やすい文章 |
|---|---|---|
| 指示内容 | 指示語が何を指すか | 物語文・説明文どちらも |
| 言いかえ | 同じ意味の別表現 | 物語文・説明文どちらも |
| 意見 | 筆者の考え | 説明文で出やすい |
| 心情 | 登場人物の気持ち | 物語文で出やすい |
では、ここから一つずつ見ていきます。
指示内容の書き抜き問題は、「何を指しているか」をしぼっていきます
「そのとき」「このこと」「それ」などが、何を指しているのかを本文から探す問題です。
一見すると、指示語のすぐ近くを見ればよさそうに思えます。
でも、実際にはそれだけでは足りません。
大事なのは、
何を指しているか
設問ではどの形で答える必要があるか
の両方を見ることです。
たとえば「そのとき」なら、時間や場面を表す内容が候補になりやすいです。
「このこと」なら、行動や出来事を指している可能性があります。
つまり、指示語だけを見るのではなく、設問の言い方も使って候補を細くしていく必要があります。
また、「一語で答えなさい」のような条件がついている問題は特に注意が必要です。
近い内容がいくつかある中で、どの語が一番合うのかを選ばなければならないからです。
家庭では、「指示語の近くを読もう」だけで終わらせず、
「何を指していそうかな」
「時間かな、気持ちかな、出来事かな」
と方向を言葉にしてあげると進めやすくなります。
言いかえの書き抜き問題は、「同じ言葉」ではなく「同じ意味」を探します
言いかえ問題が難しく感じやすいのは、問題文と本文で同じ言葉がそのまま出てくるとは限らないからです。
つまり、必要なのは「同じ言葉探し」ではなく、「同じ意味探し」です。
たとえば、問題文では「努力」と書いてあっても、本文では「積み重ね」「続けてきたこと」「練習」といった別表現になっているかもしれません。
ここでは、言葉をそのまま探すのではなく、意味の近さを考えながら読まなければなりません。
この型で必要になるのは、知識だけではありません。
知っている言葉を、本文の中でつなげる力も要ります。
つまり、語彙と連想の両方が必要になります。
家庭で見たいのは、
語彙が弱いのか
意味の近い表現をつなげにくいのか
候補までは見つかるのに決めきれないのか
という点です。
もし語彙が弱いなら、語句の学習も必要です。
でも、それだけで片づくとは限りません。
「この言い方は、問題文の表現を別の角度から言っているのではないかな」と考える経験も同じくらい大切です。
意見の書き抜き問題は、「筆者の説明」と「筆者の主張」を分けて読みます
意見の書き抜き問題は、説明文で特に重要です。
ここで多いのが、「説明してあるところ」と「筆者が言いたいところ」が分かれていないケースです。
説明文には、具体例、補足、比較、理由づけなどがたくさん出てきます。
そのため、お子さまは「何となく大事そうなところ」を拾いやすいです。
でも、大事そうに見えることと、筆者の主張そのものは同じではありません。
意見の書き抜き問題では、
筆者は何を言いたいのか
そのためにどんな説明を並べているのか
を分けて読む必要があります。
よく「つまり」「要するに」といった言葉に注目すると言われます。
たしかに、それらが手がかりになることはあります。
ただ、それだけで決めるのは危険です。
そうした言葉がなくても主張が書かれていることはありますし、まとめのように見えても、そこが答えではないこともあります。
説明文で点が伸びにくいお子さまは、この型でつまずいていることが多いです。
文章の内容そのものより、「どこが筆者の考えなのか」が見えにくいのです。
心情の書き抜き問題は、「気持ちの言葉」と「場面の流れ」を一緒に見ます
心情の書き抜き問題は、物語文でよく出ます。
一見すると、感覚で分かりそうに見えるかもしれません。
ですが、実際にはかなり差が出やすい型です。
その理由は、気持ちの問題には経験差が出やすいからです。
同じ文章を読んでも、似た経験がある子とない子では、受け取り方が変わることがあります。
また、感情を表す言葉を知っていても、その場面でその感情になる理由まで見えていないと、答えはずれます。
心情問題で見たいのは、感情の言葉だけではありません。
その前にどんな出来事があったか。
会話の調子はどうか。
行動がどう変わったか。
場面の空気がどう動いたか。
こうした流れも大切です。
たとえば、本文に直接「うれしい」と書いていなくても、
急いで近づいた
顔が明るくなった
声がはずんだ
といった描写から気持ちが分かることがあります。
物語文は読みやすく感じる子が多い分、自分の感覚で読んでしまい、本文が示している気持ちから少しずれることもあります。
だからこそ、心情問題は「自分ならどう思うか」ではなく、「本文ではどう表れているか」を見ることが大切です。
家庭では、「惜しい不正解」の中身を言葉にすると進めやすくなります
書き抜き問題では、あと少しで正解なのに失点する、いわゆる惜しい不正解がよく出ます。
家庭で見たいのは、まさにそこです。
よくある惜しい不正解には、次のようなものがあります。
・答えの範囲が少し長い
・答えの範囲が少し短い
・理由ではなく出来事の説明を抜いている
・気持ちではなく場面の様子を抜いている
・筆者の考えではなく具体例を抜いている
・一語指定なのに文で答えている
・書き出しの位置が一つずれている
こうしたときに、
「おしいね」
だけで終わるのではなく、
「何が一つずれたのか」
を短く言葉にすると、お子さまは次に生かしやすくなります。
たとえば、
「内容は近いけれど、これは理由そのものではなく出来事の説明だね」
「字数は合っているけれど、筆者の考えではなくその前の具体例だね」
「気持ちは近いけれど、気持ちそのものではなく行動だけを書いているね」
というようにです。
国語は丸つけだけでは伸びにくい教科です。
どこが違ったのかを短く言葉にするだけで、次の一問の見え方がかなり変わります。
家庭での声かけは、「答えを教える」より「考える方向を細くする」方が効果的です
家庭学習では、保護者の方がつい答えに近いことを言いたくなる場面があります。
そのお気持ちはとても自然です。
でも、書き抜き問題では、答えそのものを教えるより、考える方向を細くする声かけの方が役に立ちます。
たとえば、次のような聞き方です。
「これは何を聞いている問題かな」
「理由を聞いているなら、どんな答えの形になりそうかな」
「気持ちを聞いているのかな、出来事を聞いているのかな」
「筆者が一番言いたいのは、どのあたりかな」
「同じ言葉じゃなくても、同じ意味の言い方はないかな」
「字数と内容、両方合っているかな」
こうした声かけなら、お子さまは自分で考える流れを保ちやすいです。
国語は、正解だけをもらえばその場では終わります。
けれど、考え方が残るのは、自分でしぼったときです。
まとめ
国語の読解文章題に出る書き抜き問題は、ただ本文から言葉を拾うだけの問題ではありません。
大切なのは、「何を聞かれているのか」を先に読み、その問いに合う内容を本文から探すことです。
だから、「本を読めばそのうちできる」とだけ考えると、家庭での教え方がぼやけやすくなります。
読書はもちろん大切です。
けれど、テストで点につなげるためには、本文の読み方だけでなく、設問の使い方も必要です。
まずは、
・問いの形を見る
・答えの方向を考える
・本文のどこを見るかを決める
・候補を比べる
・字数と内容を確かめる
という流れを、親子で共有してみてください。
そして、書き抜き問題を
指示内容
言いかえ
意見
心情
に分けて考えるようにすると、つまずきがかなり見えやすくなります。
国語は感覚だけの教科ではありません。
もちろん感覚も大事です。
ですが、読解文章題や書き抜き問題では、「何を聞かれているかに合わせて答える」という、はっきりした力が求められます。
ここが見えてくると、今まで言葉にしにくかったもやもやも、かなり晴れやすくなります。
次に読むべき記事
問いに合う答え方の土台から確認したいときは→「文末表現のトレーニングしてますか〖国語 記述問題の教え方-初心者編②〗(LC16)」
理由・気持ち・説明の違いに合わせて、答えの方向を考える感覚がつかみやすくなります。
https://kategakublog.com/lc16-japanese-writing-beginner-02-sentence-endings/
書き抜き問題の基本手順を一つずつ確認したいときは→「書き抜き・抜き出し問題の教え方〖国語 記述問題の教え方-初心者編③〗(LC15)」
字数だけに引っぱられず、本文と設問の両方を見る基本がつかみやすくなります。
https://kategakublog.com/lc15-japanese-writing-beginner-03-extract-basics/
問題パターンごとの違いから見たいときは→「指示内容書き抜き問題 解き方と教え方〖国語 記述問題の教え方-初心者編④〗(LC14)」
書き抜き問題を種類ごとに分けて考える入口として使いやすい記事です。
https://kategakublog.com/lc14-japanese-writing-beginner-04-extract-instructions/